惑わせる彼【紫】 (ページ21)

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険悪にならないでページ21

渡辺「で？Aの先輩はどこにいるの」

『もう少ししたらこの教室にくるって。待ってよう』

深澤「ごめんごめん、お待たせ！Aちゃん」

『深澤先輩、』

岩本「ふっかひさしぶり。」

渡辺「は？先輩って男！？」

『え、そうだけど？』

渡辺「聞いてねぇわ！！！！！！！！」

だって聞かれてないもん、何言ってんの渡辺君。
ほらぁ、
目の前の深澤先輩も声出して笑ってる、恥ずかしいじゃん

深澤「んーと、俺ふかざわでーす。よろしくね」

渡辺「・・・・わたなべしょうた。」

んじゃキャンパス案内するよ、ついておいで～なんて
私たちに緩く声をかけてさりげなく私の隣に来る深澤先輩。

岩本君の背中から半分顔を出して深澤先輩を睨みつける渡辺君。

深澤「つーか。もっさんもいるなら言えよなA」

岩本「いや俺もさっきたまたま二人と食堂であったの。待ち合わせてたわけじゃないって。」

深澤「まぁた身長伸びたっしょ？そろそろ止まっといた方がいいぞー」

岩本「ふっかも、久しぶりに会ったら変わったな。顔のデカさとか。」

深澤「おぉい！！！！」

二人とも楽しそう。
中学の時から変わらない、この二人の関係性が目の前でやり取りが進んでいることが少しうれしく思う。
そんなことを考えながらキャンパスを見学していると、後ろで拗ねてる渡辺君に声をかけられた

渡辺「・・・ねぇ。あいつさ。」

『何、渡辺君』

渡辺「Aは仲いいの。」

『んー、中学の時はよくみんなで話したりしてたからね。割とかわいがってもらってたかな』

渡辺「ふーーーん。あっそ。」

なんだよ。自分から話を振っといて何機嫌悪くなってんの？この人は。
なんか今日の渡辺君は感情が激しいなぁ、いつも以上に

渡辺「じゃあさ、こいつと付き合ってたの？」

うーわ。聞かれたくない質問だなぁ。

『まさか・・・。深澤先輩はただの気のいい先輩だってば』

自分で言って少し虚しくなる。この感情とは久しぶりだけど、再会したくなかったな
中学の時に何度も「付き合っているの？」なんて
私の気も知らないで聞いてくる人達に、この気持ちを否定するのは案外辛かったんだよ

さっきまでの機嫌フルマックスに悪かった渡辺君の顔は、少し意地悪そうな顔に変わった。

渡辺「ふーーーん。あっそ。」