惑わせる彼【紫】 (ページ20)

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Ｂ棟の三階まで三人で歩き、こじんまりとした講義室の扉を開くと
割と人気の授業のようで席の確保に苦労した。

『渡辺君そんなに席に荷物寄せないで、狭い』

渡辺「は？しかたねぇだろ、A我慢しろ」

この授業が終わったら、深澤先輩に連絡してどこで待ち合わせるか決めないと。
案外この大学広いし迷子になっちゃいそうだし

『あ、そういえばこの授業の後、深澤先輩に大学案内頼んでるんだけど、岩本君も来る？』

岩本君「え？ふっかに会うの？」

『そう。話すと長いんだけど、この間たまたま再会してさ。』

岩本「あー・・・そういや、ふっかもこの駅に引っ越してたもんな」

中学の時に私が深澤先輩を好きだったことを知る
数少ない友達の一人である岩本君は少し複雑な顔をしてくる。

岩本「わかった。俺も行くわ」

『やった。』

深澤先輩、驚くだろう
なんて言ったってこの短期間で二人の後輩に再会することになってんだもん
少しニヤニヤしながら授業開始を待っていると、
講義室の扉が開いて教授と思われる人とアシスタントの学生が何人か入ってきた。

教授「えー、高校生の皆さん初めまして。この授業は須能大学文化交流学部の授業です。」

プリントとアンケート配るので後ろに回してくださいーと合図がされると、
大学生の人たちが手際よく紙を配り始めた
なんか大学みたい。いや大学なんだけどさ

深澤「はぁーい、プリント配ってるから席ついてねぇ！ゎら」

え？

まさかのこの講義のお手伝いを深澤先輩がしていた。
まぁどの授業のお手伝いしているかまでは聞いていなかったし、偶々被ったのか

手先を器用に動かしてプリントを数えている深澤先輩を目で追っていると、
私のいる列の前に来た深澤先輩が目線を上げる

あ、目が合った。

目が合った深澤先輩は、少し動揺した顔をしていたけど
すぐに切り替えていつもみたいにこちらにウインクをしてきた。
いや、なんだよそのファンサ精神は・・・(笑)

＊

授業が終わり、周囲の人たちはぞろぞろと退室し始めている。
私たちもアンケート用紙に感想とお礼を書いているときにライン通知が来た。

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深澤「講義終わったら、そのまま教室いといて！ゎら」