惑わせる彼【紫】 (ページ19)

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夢を見てはいないページ19

渡辺「はぁ、、、ごめんお待たせ。」

『遅いよ渡辺君。』

待ち合わせに一時間以上遅れて登場した渡辺君は、
いつもの制服の着こなしよりも少し崩している。

ブレザーの中に少し緩めたネクタイに、足元は青のカッコいいスニーカー。
耳元には二つ揺れる・・・ぴ、ピアス？

『え、渡辺君ピアス開けてたの？』

渡辺「おん。バイトの時は外してるから初めてみるっしょ。」

ほらほら～と私に対して耳に揺れる２連のフープピアスを見せつけてくる
あなた遅刻してきたくせにしっかりおしゃれしてるのね(笑)

渡辺「そういうAだって、今日いつもよりメイク気合入ってじゃん。」

ギクッ。

いやいや、違うのよ渡辺君。
メイクが濃いわけがない。
ただちょっとオープンキャンパスだし、
緊張していつもよりメイクの時間は確かに長かったけど
変ではないはず。はず。

『・・・そんなことないけど。変、かな。』

渡辺「んー。いいんじゃない？」

それよりも何食ってんのー、俺腹減ったんだけど！！
なんて騒いでる渡辺君を横目に、手持ちの鏡をそっとのぞき込む。

独りだけ気合が入っている、なんて思われたくないしね

次の13時からの体験授業は、隣のB棟の三階の教室か
早いところ渡辺君を連れて移動しちゃいたいなぁ。

岩本「あれ、Aと翔太じゃん。やっほ」

食堂でカレーをがっついている渡辺君の肩を叩く、岩本君。
ちょっと渡辺君ほっぺにカレー飛ばしてるけどどんな食べ方してんのよ

『岩本君！オープンキャンパス来てたんだ』

岩本「この間会ったぶりだな。つーか翔太俺誘った時バイトだって言ってなかったか？」

渡辺「・・・・・チッ」

『あれ、そうだったの？』

岩本「まぁいいけど・・・この後二人ともなんの体験授業受けんの？」

『Ｂ棟の国際授業のやつ。渡辺君はさっき寝坊して今来たんだよ』

ジトっと渡辺君をにらむと、さっき岩本君についていた悪態から一転してしょぼくれている。
多分犬だったら耳が垂れてるんだろうなぁ(笑)

岩本「じゃあ俺も一緒いっていい？俺もそれ受けたいんだよな」

『もちろん。ここ座ってよ、渡辺君が食べ終わったら行こ』