惑わせる彼【紫】 (ページ16)

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まさかの、また深澤先輩と並んで帰っている。

何度か断ったものの、私自身が怒られて少し落ち込んでいた様子を察して
「俺が一緒にいたいだけ。ダメ？ゎら」
なんてフォローされたら、断る理由なんてない。

『先輩、ありがとうございました。』

深澤「いーえ。Aちゃん、これからは気を付けるんだよ？」

わが家へ続く、暗い夜道を二人で歩いている
まだこの先輩に恋心を抱いていたあの頃なら、顔真っ赤にしていたのかもね。

本当にいつも群れの中心にいたこの人は、
こうやって私みたいな子にまで細かく気を使ってくれるし、とにかく優しい。

そんなところも好きだったなぁ。なんて懐かしみながら左に歩く深澤先輩の横顔を見つめる。
そうそう。この角度からずっと見てたな。
ちょっと猫背で街灯に照らされた肌が白くて、鼻が通ったこの横顔。

深澤「なぁに。そんなに熱のある視線出しちゃって。かぁいいね。」

じっと見つめていた横顔が急にこっちを向いたため、ばっちりと目が合ってしまった。
うっわ。やっぱこの人はカッコいい

『っ・・・。』

深澤「見とれちゃってさぁ。何？ますますいい男になったとか思った？ゎら」

『先輩の顔なら夜道も防犯になるなぁって感心したところです。』

深澤「おい！！！誰の顔がバケモノだ！！！！！！」

おちょくんなよ！なんて言いながらも、この先輩は機嫌がよくなったのか
さっきからずっと握っている左手をニギニギしてくる。

そこから間もなくして、無事に自宅についた。

『先輩、ありがとうございました。おやすみなさい。』

「はぁい。もう遅いんだからさっさと玄関入りな。見送りはいいから。」

おやすみね～、なんて手をひらひら振りながら帰っていく姿を少しだけ見つめる。

ラインのやり取りは一週間前から終わっていた
でも、「また会えるかも」は実現しちゃったな。
少しだけ浮かれている自分の体を、布団に沈めて冷静に考える。

いやいや。ただ治安の悪い道にいる女子高生が心配だっただけ。
私だったから、なんて都合がいいことではないよね。

渡辺君とカフェに並んで、中学の同級生の岩本君に再会して、
そして深澤先輩とも会った。
今日一日は濃い日だったな。明日はバイトもないし、ちょっと進路相談室にでも行こう。
真面目に考えないと。。。。。。。

自身で気付くことがないほど、そのまま寝おちた。

＿＿＿＿＿＿＿

深澤「Aちゃん、俺の大学くる？」