惑わせる彼【紫】 (ページ12)

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授業後のHRで進路希望調査の紙が配られ、少しばかり憂鬱になる。
そういや渡辺君の高校でもこの間二者面談したって言ってたな

学校が無事に終わり、バイトに向かいながらぼんやりと自分の進路を考える。
他の子はもう進路を決めてるのかな、とか
私だけだったらどうしようかな・・・とか。

成績はまぁそこそこいい方だし、両親からは「強要はしない。実力を活かしなさい」と
言われているので、何かハードルがあるわけでもない。

ただ、目標がない。

そんな自分にもやもやしてしまう。

渡辺「・・・何そんな怖い顔してんの。」

『え！！渡辺君』

普段はバイト先で会うからか、こんな最寄り駅で会うのは何か新鮮だ。
渡辺君はいつも一回家に帰ってからバイトに来るから私服ばかり見ていて、
制服姿なんて、なんか面白いな。

渡辺「よっ。今日Aもバイトだろ？」

『そう。今から直接行こうかなって。渡辺君は一回帰るんでしょ？』

渡辺「んー・・・いいや。俺も今日は直接行くわ。」

ほら行くぞ、と私を引っ張っていく。
え？
バイトに行くにはまだ時間あるよね

『渡辺君。私バイト前にそこのカフェ行きたかったんだけど』

渡辺「あー。あそこ？友達が言ってたような・・・仕方ねぇな。Aに付き合ってやんよ」