惑わせる彼【紫】 (ページ44)

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言わないでページ44

深澤「最近、ずっと受験で根詰めてんでしょ？」

『そりゃあ私受験生ですから。そのために頑張ってますよ』

深澤「まあさ、あんまり無理しないでよ。いつでもお兄さんが駆け付けちゃうよー？」

中学の時から、何かと苦しんでいるところに駆けつけてくれるのはこの先輩だった
あの時苦しんでいた要因の、まぁ半分は深澤先輩のことに関連してたけどね

『・・・ありがとうございます。やっぱ先輩には叶わないですね』

私ではこの人に、何をやっても叶わない

佐久間「最後にさ、線香花火やってビリがアイスおごろうよ！コンビニで！」

渡辺「は？まじかよ最悪」

深澤「何？？？ナベは自信ないのかなー？ゎら」

渡辺「・・・おれこの線香花火にする。」

用意された線香花火をそれぞれ持ち、スタンバイ
この過ごしやすい夜に食べるアイスは絶品だろうなぁ。

佐久間「レッツ・・・・スターティン！！！！！！」

徐々に進む線香花火を、五人でそれぞれ応援をしながら囲む
佐久間先輩そんなに大声掛けたら火が揺れるんでやめてください

火の姿が牡丹、松葉、柳と進み、フィナーレの散り菊に差し掛かる
私のは意外と長持ちだ、アイスのおごりはなさそう

深澤「・・・あ、俺だ」

渡辺「っしゃあー！お・ご・り！」

岩本「ふっか、俺チョコアイスな」

佐久間「佐久間はイチゴのやつー！」

『私は抹茶で。ご馳走さまですー』

誰よりも先に火が落ちてしまった深澤先輩に、みんなで希望のアイスを伝える
この先輩、やっぱりもってるわ

深澤「くそー・・・お前ら待ってろよ！すぐ買ってくるからな！」

渡辺「クハハハ、あいつおもしれ～。」

『あんまいじめてあげないでね、渡辺君』

深澤先輩のアイス買い出しを待ちながら、みんなで少しベンチや公園の遊具で遊ぶ
ブランコになんて乗るの久しぶりだ

渡辺「なんかさ、今日のA、服装おしゃれじゃん？」

『そう？あんま変わんないと思うけど』

渡辺「だって、アクセサリーなんてあんまつけてない」

右手の中指に光る、さっき貰ったリングを指さす渡辺君
意外と人の事観察してんだね

「あー、最近買ったから。気分だよ」

そーなんだ、似合ってるよなんて
かなりの高さまでブランコを漕いでいる渡辺君から褒められると
もう一度自身の指に光る紫を見つめる

この紫は、深澤先輩そっくりかも。

深澤「はーい、おまたせ！！！」