【東海オンエア】邪道な。

そしたら_虫眼鏡 ページ26

近くで、みているだけだった。

わたしより少し背が低い。
わたしより頭がいい。
わたしより、

「おはよ、たいき」
「うん」

ふい、と通り過ぎたたいきは友達のほうに走っていった。
幼馴染。高校生。
潮時なんだろうなとなんとなく思った。

めちゃくちゃ頭がいいというわけでもないわたしがたいきと同じ高校に行くことができたのはたいきがあんまり高校に頓着していなかったから。
わたしはたぶんたいきの眼中にも入っていない。
……たいきは最近彼女ができた。

照れくさそうに笑っているあの子。小さい。かわいい。
わたしは、たいきの彼女だからあの子のこと嫌いだけど。

「健気だねえ」
「どこが？」
「小学校の頃から好きなんでしょー？ 健気じゃん」

……本当に健気な子はもっと頑張ってるよ。
頑張って、頑張って、見ているだけなんかに甘んじないで隣をもぎ取るよ。
でも誰かに奪われたって、きっとたいきの幸せを祈るんでしょう？

「A」
「ん？」
「女の子って何が欲しいの？」
「は？」

なんで私に聞くの、とイラっとする。そういえばもうすぐクリスマスだ。

「たいきが選んだものなら何でも嬉しいんじゃない」
「そういうセンスがないから聞いてるんじゃんか」
「……アクセサリーとか？」
「ふうん、ありがとう」

あーあ。
隣でいることができなくなってから後悔するなんて聞いてないよ。
さっさと別れてくれ。

そしたらさ、私が次こそもぎ取りに行くのに。

服_りょう→←きっと、わからない。_りょう

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