蒼を踏む_りょう ページ18
なんでもよかった。
もうなんだってよかった。
そういう感情に陥るのは久しぶりで、このままわたしの人生はどうにもならないんじゃないかって、それならもうなりふり構っていられるかと自暴自棄な気持ちになった。
アスファルトを叩きつける雨で寒い。震える脚で傘もなく、ひとり荷物もなく、走るでもなく、アスファルトを踏みしめている女子高生に皆振り向き、そして見なかったふりをする。
濡れたスカートが脚に張り付く。涙が頬を伝う気がしたけどそれも雨で何もわからないまま感覚が溶けた。
「……A？」
聞き慣れたはずの低音にびくりと肩がすくみ、そして振り返った。
「なに、してんのこんなとこで。傘は？ てか荷物は……」
「りょ、く……」
「ちょっと、大丈夫？ 風邪ひくよ」
うちおいで、と腕を引かれる。話はうちで聞くから、とコンビニの帰りだったらしいりょうくんはわたしのことを家に連れ帰った。
もう帰ってこないかもしれない鞄を落とした場所を懸命に思い出す。
もしかしたら取りに行ってくれるかもしれない、あの中には財布も教科書もノートも、かろうじてスマホはスカートのポケットに入っているけれど他のものはだいたい入っている。
「で、どうしたの」
シャワーを借りて、申し訳ないけどまたコンビニへ向かって買ってきてもらった綿の下着と借りたスウェットを着て、そして加速度的に「もうどうでもいいや」が薄れていることに気がついた。
「言わなきゃダメ？」
もうだいたい気づいてるだろうにそんなことも言わなきゃいけないのかと少しだけ憤る。
「荷物はどこやったの」
「わからない、けど多分駅のほう」
「……そう」
ゴウンゴウンとドラム式の洗濯機の音と、ざぁっと室内で聞く雨の音が重なる。
「雨、急に降ってきたね、荷物濡れてるかな」
「教科書入ってるんだよね」
「あぁ、それはどうしようもないかもね」
「ん……」
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星乃(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございました！なかなか難しい話でしたがご期待に添えたようでよかったです。 (2020年12月14日 7時) (
レス) id: f079188a9f (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - リクエストお応えいただきありがとうございました！もう長編で見たいくらいのストーリーで、めちゃくちゃ惹き込まれました！！大好きです！！！ (2020年12月14日 1時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 星乃さん» ぜんっぜん待ちます！！！！！何年かかっても大丈夫です！待たせてください！！！！！ (2020年11月30日 23時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
星乃(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます。更新頻度からお気づきかも知れませんが、忙しくてなかなか文章を書けない日々が続いております。リクエストはとても嬉しいのでぜひぜひ書きたいとは思うもののあまり早くは上がらないと思うのですがそれでもよろしいでしょうか？ (2020年11月30日 22時) (レス) id: b915d5005d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - いつか振り向いてくれたらのアフターストーリーとかって書けたりしますかね……？ (2020年11月29日 23時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星乃 | 作成日時：2019年4月1日 17時
