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「あれ」
「あ、ゆめまるおかえり」
「てつやのレース終わった?」
「とっくに」
「うわー、やったわ。あとで謝っとこー」
「あ、こんにちは」
「……こんにちは」
ゆめまるとその彼女が会場に戻ってくる。手なんか繋いで、仲良い、なあ。
「あ」
「ん?」
「……いや、なんでも」
向こうからゆめまるの元カノの後輩が歩いてきて、すごい傷ついたような顔してるの見てしまった。罪悪感。元カノだってことを知ってんのか知らないのか、ゆめまるの彼女はちらりと横目で後輩を見ていた(かもしれん)。
「……あ、ゆめまるくん、いつ試合なの?」
「んー? ああ、そろそろアップ行かなきゃ」
「あたしも行っていー?」
「つまんないよ、たぶん」
「ゆめまるくんと一緒にいたいんだもん、陸上部の仲良い子いないし」
……ちょっと苦手かも、このひと。
「俺もそろそろアップしてくるかな」
「行こーぜ」
「いや1人で行くわ、彼女構ったげなよ」
「彼女構いながらアップは無理じゃん」
「いやそうだけどさ」
俺が嫌なんだけどな、知らん人一緒にいんの。
「あれ? 何やってんのこんなとこで」
「あ、てつやお疲れ」
「ああうん。あ、こんちは」
「こんにちは」
「ごめんてつや、見れんかった!」
「はあ? お前ぇ! え? りょうも?」
「まあまあお疲れ」
「おいぃー!」
「まあ俺は見たけどさ」
「見たんかい!」
「まあいーや、俺アップ行ってくるー、行こー」
ゆめまるが彼女の手を引いてアップをしに歩いて行く。
「りょうは? そろそろじゃん?」
「んー、あ、そうだA先生、クッキー差し入れてくれてたからまだあるからわからんけど食べるといいよ」
「は? え? Aせんせーの手づくり?」
「そうっぽい」
「ええ、あ、いた、Aせんせー!」
ぶんぶんとA先生に向かって手を振るてつや。
「俺もっ、俺もクッキー!」
「あーもうほらほらあぶねーなー、転ぶなよ」
ばたばたとうるさくA先生に駆け寄るてつやの後をついて行く。
「小柳津くん、速かったね」
「おお、見ててくれてたんですか、それよりっ、クッキー!」
「ふふ、まだあるよ、はい」
「よっしゃ!」
「じゃー俺行くわ」
「おお、行ってらっしゃ、あ、これうま!」
「おい喋るなら最後まで喋れ?」
てつやのほっぺたを引っ張るといてー、と喚かれる。
「福尾くん、もうすぐ?」
「あ、まだもう少しありますけど」
「頑張ってね、応援してる」
ああ、もうそれだけで頑張れちゃう俺。
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星乃(プロフ) - カオルさん» ほんとですか! ありがとうございます。忙しくてなかなか更新していないのですが、是非これからもよろしくお願いします! (2019年2月19日 7時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
カオル - 尊すぎませんか、この小説!!毎話続きが気になってドキドキしています。気づいたら、りょうくんの応援してました( 〃▽〃)更新楽しみにしております! (2019年2月19日 3時) (レス) id: d8ce782270 (このIDを非表示/違反報告)
星乃(プロフ) - 地雷屋さん» コメントありがとうございます。ネタバレではないので大丈夫ですよ◎才能とかはないのですが、そう言っていただけて嬉しいです、これからもよろしくお願いします (2019年2月18日 7時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
地雷屋(プロフ) - この小説本当に好きです。お話一つ一つのタイトルが集まって凄い事になってますよね。気付いた時1人で悶絶しました…作者様の才能、深く尊敬致します。このコメントがネタバレなどで問題になるようでしたら、即刻削除なさってくださいね。これからも応援しております。 (2019年2月18日 1時) (レス) id: 4668e73e56 (このIDを非表示/違反報告)
星乃(プロフ) - まぶたさん» コメントありがとうございます。忙しかったりして更新はまばらになりがちですが、気長にお待ちください〜。これからもよろしくお願いします! (2019年2月11日 7時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星乃 | 作成日時:2019年1月12日 20時