また、いつかの話。 ページ20
いつか、わたしがもっと大人になった時に、
もっと感じることが下手になった時に、
わたしは、もっと。もっと富永のことを忘れてく。
そんなのダメだ。
*
この前、あいつの相方を見つけた。
思ったよりもまあ元気そうだった。目を合わすことを憚った。
不思議そうな目で、見つめられた。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
……罪の意識に、Aが駆られることはないから、と富永が言っていたのを思い出して、あいつあんなに優しかったっけ、と思ってしまった。
消えてく。
高校の時助けてくれた時の顔も、卒業式の日に言われた「またな」も、久々にかかってきた電話の声も、ノートの文字さえ、全部。わたしの中から富永が消えていく。きっとわたしの大切な人だったことすら、全然思い出せないのに。
なんで、「俺を殺してみてよ」って言った時の富永だけが消えないんだろう。
こんなにも富永のことを惜しんでいるのにわたしは、まだ、
生きたい。
わたしにこんなにも惜しまれる富永のように、わたしが生きていた爪痕をどこかに残したくて残したくて、たまらない。
ああ。
わたしは、きっとひどい人間なんだ。
36人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星乃(プロフ) - ち ゅ ん ぴさん» コメントありがとうございます。占ツクの雰囲気に合った作品では間違いなくなかったのですが楽しんでいただけて幸いです。こんな話は思いつかない限り書くつもりはありませんが、ぜひ恋愛系の小説の方もよろしくお願いします。 (2019年2月27日 21時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゅ ん ぴ(プロフ) - 読了しました。話の構想や描写の仕方、全てがこう、私の性癖()に突き刺さって…もう、好きとしか言い表せません。更新停止にする、といった案も素敵で、見てみたかったです…!なんとも言えない不気味な濁された後味の悪さも好きです。これからも応援させていただきます! (2019年2月27日 20時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
星乃(プロフ) - なぁさん» コメントありがとうございます。読み返してくださって嬉しいです、正直この小説一回性の驚きを重視して作っていたので読み返していただけると思っていませんでした。更新頑張ります。 (2019年2月21日 7時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - それから、を読んでから、一話から全部読み返しました。展開がわかった上で読むとさらにおもしろいです…!それから、の主人公の少し冷めた感じが逆に生々しくて、続きが読みたくなりました! (2019年2月21日 2時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
星乃(プロフ) - ちゃさん» コメントありがとうございます。すごく考えて書いたのでそう言っていただけて感激です。そろそろ更新しようと思っているのでこれからもよろしくお願いします! (2019年2月18日 7時) (レス) id: cfcc689b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星乃 | 作成日時:2018年12月1日 16時