15* ページ21
勢いでベースを飛び出したもののナルを探す気にもなれず、結局屋上に来てしまった私はため息をついた。
「あー、やっちゃったな…。
日も暮れたし、ベース待機だったのに、ナルに怒られる」
柵に凭れてもうひとつため息をついたところで、隣から鈴を転がしたような笑い声が響いた。
坂「はは、信じてもらえなかったね。
折角ヒントをあげたのに、勿体ない」
むっとして隣に現れた坂内君を睨み付ける。
「君のせいで面倒なことになったじゃん」
また指先から冷える、あの感覚を味わう羽目になったのだ。
坂「僕は本当のことを言ったのに、信じないのは君のお仲間でしょ？
まあ、Aが僕を信じてくれてるのは、君自体が霊に近い存在だからみたいだし仕方ないんだよ」
「…どういうこと？」
近しいものを感じるって、前にも言っていた気がするけど…私が死にかけとでも言いたいのだろうか？
私の疑問を感じ取ったのかなんなのか坂内君は微かに口角をあげた。
多分得意気な感じだから、彼なりの推測なのだろうか。
坂「君の魂は、半分欠けているんだ。
君が今生きてるのが不思議、本当なら死んでる」
「…へぇ」
気のない相槌を打てばムッとした様子で睨まれたが、仕方ないだろう。
何も感じないんだから。
坂「それでも君が生きてるのは、欠けた分の魂を埋めているものがあるからだ。
それはは君ではない誰かの魂で、その主は既に亡くなっている」
私は無意識に胸元に手をやっていた。
坂内君は今度こそ得意気に笑って、さらに続ける。
坂「生きてた頃になんかで読んだんだけど、死んだ人は自我が失われた分闇、つまり負の感情に染まりやすい。
負の感情に染まった魂は成仏出来なくなり現世では悪霊と言われる存在になるんだ。
そしてとても言いづらいけど、君の魂を埋める何者かの魂は今この瞬間も憎悪に蝕まれてる。
不運にもこの学校にいる霊の障気がそれをさらに加速してるみたいだ」
「つまり、私のなかに悪霊がいる？」
正しくは悪霊もどきかな、なんておどけてみたが坂内は僅かに眉を寄せただけだった。
彼はずいぶんとそれを深刻に受け止めているらしい。
別に、私はなんとも思わないのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫(プロフ) - 一気読み余裕でした･･･！ナル落ちに1票！！ (2021年5月29日 2時) (
レス) id: 4f763936bc (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！！待ってましたTT本当に嬉しいです！これからも応援してます！ (2021年5月19日 14時) (レス) id: 9b235f8d16 (このIDを非表示/違反報告)
杏花(プロフ) - 更新の通知で飛び跳ねて喜びました！応援してます！！ (2021年4月12日 18時) (レス) id: 343fcf64a5 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - ナルのデレ具合がドンピシャ極めてます…！！続き期待してます！ (2019年9月8日 19時) (レス) id: 92127a51f4 (このIDを非表示/違反報告)
たたた - おもしろーい！どんな展開になるか楽しみ (2019年6月26日 12時) (レス) id: 7eedf1047a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まりあ | 作成日時：2016年12月20日 23時
