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「あ…うん」
さっきの言葉、気にしてくれてたんだ。
嬉しいのと恥ずかしいので顔が熱くなった。
隠し事ばっかりの私を、こんなやさしく受け入れてくれるナル。
10年間の記憶も、居場所もなかった私を引き取ってくれた恩人。
こんな私がいったい彼に何を返せるのだろう？
「あ、えっと…さっきの犬だけど、祓ったわけじゃなくて散らしただけだからまた出ると思う」
ナ「ああ、この調査が終わったらリンに言って出来れば除霊、最悪でも退魔法を習得しろ。
さっきは犬に何を？」
「うーん、なんだろう…本能的にPKを使うのと同じ要領で犬に力を送った？叩きつけた？」
それよりも頭に直接響いた声は私にしか聞こえていなかったようだし、なんだったの？
あの声…どこか懐かしさを孕んでいた。
中途半端になったESPと、聞こえた声は関連している？
6歳頃からナルに出会うその直前までの、10年間私は何をしていたんだろう…
ナ「霊にPKが使えるのか？
いや、同じ要領でということは霊力を使っている可能性もあるな…」
分析しているのか顎に手を当ててブツブツと呟いているナルの袖を掴む。
ナ「A？」
「ナルは…私の記憶が戻っても、そばに置いてくれる…？」
ナ「何か思い出したことでもあるのか？」
顔を見る勇気がなくて俯いたまま首を横に振った。
ナ「記憶が戻ってもAはAだ。
僕も、恐らく麻衣たちもなにひとつ変わらない。
無理に思い出すことはないが、思い出すことを恐れる必要もない。
僕はAをこれから先もSPRに必要な人材だと確信しているんだ。
僕が納得しない限り、僕のもとから離れることは許さない」
小さな子を諭すみたいに、優しく話すナルは夢でしか会えないジーンと重なる。
でも、最後の台詞が自信家のナルらしい。
失われてしまった未知の記憶に対する恐怖が、
一から築いた皆との関係を失うことに対する恐怖が、
ない訳じゃなかった。
だから、その場を楽しんで生活することを心がけた。
先のことはナルを助けることで拾ってもらった恩返しをする、とだけ決めた。
過去を考えないことで、思い出さないようにしていた。
…でも、やっぱり向き合うべきなのかもしれない。
ESP能力が私の記憶を引き出すトリガーになるはずだ。
「うん、そうだよね。
早くベース戻ろ！」
この事件を解決したら＿＿＿＿。
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黒猫(プロフ) - 一気読み余裕でした･･･！ナル落ちに1票！！ (2021年5月29日 2時) (
レス) id: 4f763936bc (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！！待ってましたTT本当に嬉しいです！これからも応援してます！ (2021年5月19日 14時) (レス) id: 9b235f8d16 (このIDを非表示/違反報告)
杏花(プロフ) - 更新の通知で飛び跳ねて喜びました！応援してます！！ (2021年4月12日 18時) (レス) id: 343fcf64a5 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - ナルのデレ具合がドンピシャ極めてます…！！続き期待してます！ (2019年9月8日 19時) (レス) id: 92127a51f4 (このIDを非表示/違反報告)
たたた - おもしろーい！どんな展開になるか楽しみ (2019年6月26日 12時) (レス) id: 7eedf1047a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりあ | 作成日時：2016年12月20日 23時
