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side you
蝉が騒がしく鳴いていた。
公園のブランコに座りながら空を見上げる。
今日は陽が沈んでから曇天に包まれ、星は見えなかった。
これじゃあ菊池君も来ないな。
なんとなくただそう思った。
おもむろに携帯を取り出し、彼とのメッセ画面を開く。
そこには何も表示されず、ただ左上に彼の名前があるだけだった。
画面を移動しようと思い指を滑らす。
途端、通話画面へと切り替わった。
え、あれ。ちょっと待って、
「もしもし雨ちゃん?」
2コールで彼は電話に出た。
焦って手が湿っていくのを感じる。
「ご、ごめん。なんか間違って押しちゃって」
「あーそうなんだ。期待したのになー」
「え!?なにを..」
「仲良くなれるかなって」
平気な声でそんなことを言わないでよ。
「じゃあ切るね」
「えなんで」
「なんでって話すことがあって電話したんじゃないんだけど」
「いいじゃん別に、話すことなくても」
「っていうか雨ちゃん」
え、声がすぐ後ろで聞こえた。
振り返ると
「やっほー」
外灯に照らされた彼がいた。
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作者名:みつまめ | 作成日時:2021年8月8日 1時