.11 ページ11
.
夜空を柳が彩り、夜空に幕を下ろした.
幕を下ろしたあとも尚、呪霊に乗り浮かんだまま、
静寂さを取り戻した夜空を仰いだ.
『 終わっちゃったねぇ 』
名残惜しそうに目を細める彼女.
静かな、僅かな風が、髪をなびかす.
少しばかり沈黙がおり、それを破ったのは彼女だった.
予想だにしない言葉で.
『 傑くんは、今の人生に満足してる? 』
核心を付くような言葉に、肩が微動した.
「 どういう意味だい? 」
『 私は、傑くんが選んだ道を、私は肯定も否定もしない.
悪い道だとしても、それでも傑くんに救われた人もいる.
誰かを救えることはすごいと思うよ. 』
全てを見透かすような目に射止められ、逸らすことが出来なかった.
ひとつひとつの言葉を、ゆっくり、丁寧に紡ぐ.
柔らかな微笑みは、儚さも入り交じっているように見えた.
『 ただ、ひとつだけ…
これは私のわがままなんだけどね. 』
ゆっくりと、水色の髪飾りを外した.
結っていた髪も解け、肩に降りる.
私の手に髪飾りを優しく置き、
それごと小さな手が私の手を包んだ.
『 どうか、私のことは忘れないで欲しいの 』
潤んだ瞳が私を映す.
瞬きをすれば、彼女の頬を濡らした.
ふと、気づいた.
彼女の手を握っていた感触は殆どなかった.
どんどん温もりが失われていく.
まるで死が近づく人間のように.
違う.
彼女はもういない.
いるはずがない.
彼女は、もう、この世にはいない.
.
199人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはぎとだんご(プロフ) - すごく素敵な作品でした。ありがとうございます。これからも楽しみにしています、 (2021年2月15日 1時) (レス) id: 1cc5216453 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんの(プロフ) - 完結っ‥‥お‥‥おめでグスッおめでどぉ‥ございます"ッ‥‥‥‥うッグスッ‥‥‥‥推し様か"ッ‥‥っ!生き生きッッッッ‥‥してて"ッグスッ‥‥‥‥素晴らしか"ったでず‥‥ズビッおもしろかったです"!ありがと"うございましだ (2021年1月11日 9時) (レス) id: 588546bca4 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - 傑が生き生きしててとっても好きです!応援してます! (2021年1月5日 22時) (レス) id: 0939652fd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まっちゃろん | 作成日時:2021年1月4日 20時