こんなはずじゃなかった彼氏編(JW青×JW緑) (ページ30)

今日:17 hit、昨日:7 hit、合計:75,528 hit

30 ページ30

桃side

おおおお落ち着け俺。
なに、これ、抱き締め返してええの？？
いやっまずこの状況なに？？
抱き着かれるような流れあった？？
てか重岡黙ってもーたし。
つむじ見えてるし。

あ、いい匂いする。
髪ふわふわやなぁ〜。

っじゃなくて！！！

とりあえず、だっ、抱き締め返しても良いかな…。

恐る恐る重岡の背中に手を回し、ぎゅっと力を込めようとしたその時、胸の辺りが冷たいのを感じた。
そう、ちょうど重岡の顔がある辺り。
抱きしめ返そうとしてた手を重岡の肩において顔を覗き込むと、目から落ちた大粒の涙が俺のシャツに吸い込まれていた。

｢ええええええ！？泣いてんの！？｣

ただただ泣き続ける重岡。
何も言わんってことは俺には言いたくないか、言えないか。
どちらにせよ、好きな子が目の前で泣いてるのに抱き締めんやつがあるか！！
肩に置いていた手を背中に回して今度こそ力を込めて抱き締める。

｢っなんかわからんけど、泣け泣け！｣

そう言うと重岡は堰を切ったように声を上げてわんわん泣き出した。
よくよく考えれば涙の理由は察しがつく。
多分俺がさっき悶えてた理由と一緒で流星との事…やろうな。
相当溜まってたんか重岡は中々泣き止まない。
落ち着くように背中をゆっくりさすってみたり、後頭部を優しくぽんぽんと叩いてみたりしてたら段々赤ちゃんをあやしてる気分になってきた。

普段は明るく、皆のムードメーカーで、泣いてる所はおろか弱音を吐いてるところだって見た事がない。
そんな奴が声を上げて思いっきり泣いてる。
そうさせてるのが自分やっていう申し訳なさは勿論あるけど、弱さを見せてくれた事が、少しだけ、嬉しかった。

どれくらい泣いてるやろうか、そろそろ皆がやってくる時間。
少し体を離して話しかけようとした時

｢はよざいま〜す。｣

咄嗟に重岡を体で隠した。
泣いてる顔見られんの嫌かなと思ったのと、他のやつに泣いてる顔見せるのが嫌やったから。
多分前者は合ってて重岡も見られへんように顔を隠してる。
流星との事知ってるとは言われへんから、

｢何があったかわからんけど、自分の気持ちもう1回考え直てみたら？な、とりあえず顔洗ってき。｣

と声をかけた。
俺は重岡から遠ざける為入ってきた部員に話しかけに行く。
自分の気持ち考えられたら、俺に勝ち目はないんやけどなぁ。

2人が幸せになるなら、仕方ない。

…やんな。