【鬼滅の刃】心の眼 (ページ1)

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父の榮は、酷く暴力的であった。

言う事やる事１つでも反対すれば、女だろうが餓鬼だろうが容赦無く暴力で黙らせる。

正直に言ってしまえば単純で、我が儘を通そうとする子供のような性格の人だった。

そういえば昔、次男の草太が父に暴言を吐き散らして殺されかけた事があった。

顔面が酷く腫れて、何ヶ所も骨折をして。最終的には医者に診せる金が酒に飛んだものだから、治療も受けられず死んでしまったが。

まぁそれは要領が悪く、上手く立ち回り出来なかった草太が悪い。

そう割り切っている筈なのに、埋葬をしている妹たちと酷く泣いたのを覚えている。

その時、驚くほど大粒の涙が大量に零れたものだから、私は兄の草太をそれ程までに慕っていたのだと気づかされた。

しかし、悲しんでいる時間はあまり長くはなかった。草太の遺書が見つかったのだ。

そこには鬼という存在に殺されかけ、藤畑葉一郎と名乗る男に助けられた事。その男は育手と言い、鬼を殺す事を目標とした組織に入隊する為の人材を育てる役割を担っている事。

それから、草太はその組織に入隊を希望した事が記されていた。

父も、１０人の母も、１１人の兄も、１５人の姉も、私も、６人の弟も、３人の妹も。

その事実を知らなかった。

そして私は、どこか悔しかった。

兄が最期の願いを叶えれなかった事が。

だから、

「私が、兄さんの願いを叶える」

同じ母さんの血を引く兄妹として。