夢うつつ (ページ8)

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"地理の教科書かしてー"

「はぁ？自分で取りに来いや。」

バレてしまってからというもの、
俺は弄られるようになった。

いや、まぁこれも大橋なりの手助けなんやろうけど。
ちょっとあからさますぎる。

"Aちゃんにかりよかな〜"
"お前動くな！待っとけ！"

「…」
「丈くんや、どうしたん？」
「大橋呼んでくれへん？」
「ちょっと待ってな。」

Aは廊下側の席。
俺が大橋を呼びに来る度、声を掛けてくれるから
必然的に話すことになる。

話す回数増えたからって特になんも起こらんけどな？
そもそも小学校から一緒なんやから。

「丈くんわざわざありがとう〜」
「お前な、どういうつもりやねん。」
「Aちゃんと話せてよかったやろ？」
「ウインクすんな！」

そんなこと言っても毎回コイツの思惑に乗っかってしまうのは、多少気になるからで。
他の男子と喋ってへんか、今日も俺に気付いてくれるんかとか。

結局、好きになった方の負けってやつや。