夢うつつ (ページ46)

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「流星ー、コンビニでアイス買ってきてくれへん？」
「ええよ。」
「お釣りはあげる。」

ランニングのついでに頼まれたお使い。
暗くなるのは早くなって、少しずつ涼しくなってきて。
自然といつもよりペースが上がる。

「あ、」
「あ、流星くんやん。」

角を曲がった先。
この辺に住んでないはずの彼女と目が合った。

「なんで、」
「バイトの帰りなんやけど、コンビニ寄って帰ろかなって思って。流星くんは？」

「お使い頼まれて。」

「どうせアイスとかやろ？偉いなぁ。」

頭に乗せられた手に、嬉しいと思ってしまう。
今では俺の方がちょっと背も高いし不思議な気分やけど。
目の前のこの笑顔だけは昔から変わらんから、懐かしいような、照れくさいような。

並んで歩きながら何を話したかは、あんまり覚えてへん。
ただ、これが当たり前になればええなって。そう思ったことだけは覚えてる。

「アイス、奢ってもらってごめんな。今度、なんかお返しするわ。」

「なぁ、1個頼んでいい？」
「ん？ええよ。」
「今度、俺とデートして。」

見開かれた目が、俺を見つめる。

「デート、」
「俺、Aちゃんが好き。」

「流星、機嫌良い？」
「当たり、当たってん。」

送られてきたOKのスタンプに思わず顔がニヤける。
絶対、あの隣をゲットする。

"デート、楽しみにしてる。"