夢うつつ (ページ5)

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「めっちゃ綺麗…」
「やろ？でも意外と知られてへんねんなぁ。」

彼は何も聞かなかった。
そして私も聞かなかった。
それなのに心地が良かったのは、夜のせいだったのか。

「昔からこの辺で時間潰してたけど、やっぱここから見る景色が一番綺麗やねん。」

彼の横顔とその後ろに映るネオン街
まるで映画のワンシーンのようで
あぁ、なんて美しいんだろう。と思った。

「教えたん、おねーさんが初めてやから口外禁止やで？
まぁ、彼氏に見せたいって言うならええけど。」

多分彼のことだ。
誰かに言ったところで咎めたりはしないだろう。

「家、この辺なん？」
「15分ぐらいのところです。」

「近くまで送るわ。」

これが夢なら、本当は覚めて欲しくないけれど。
次があるか分からない彼との別れを
少し寂しく思った。

「またなんかあったら遊びに来てや。」

一夜だけの過ちは、これっきりにするつもりだった。