夢うつつ (ページ31)

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手を伸ばした煌めき(黄) ページ31

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「おはようございます！」
「今日も長尾くんは元気だねぇ。」

毎朝耳に入る人一倍大きな声。
物理的に大きいのもあるけれど、妙に響くのはあの日から意識してしまっている自分のせいでもある。

「おはようございます、先輩。」
「おはよう。」

隣のデスクになったのは偶然か、必然か。
彼が手回ししたのでは。と疑ってしまうくらいに
何かが重なりすぎている。

「先輩とバディ！」
「…教育係ってだけね。」
「一緒に外回りって実質デートちゃいます？」
「違うよ？」

付き合ってるといっても、仕事に私情を持ち込むわけにはいかない。何とか平然を装う私を振り回すところは、昔と変わらない気がする。

とは言っても彼は仕事が出来るタイプだろうし。
私が勝手に振り回されているだけだと、自覚はしている。

…不甲斐ない。

「お昼何食べたいですか？」
「今からご飯のこと考えてるの？」
「やって、2人きりなんやもん。」

可愛い。なんて口にしたら、また我儘を言われるだろうからグッと堪える。

まぁ、嬉しいと思っているのは私も一緒なんだけど。