夢うつつ (ページ30)

今日:9 hit、昨日:15 hit、合計:29,260 hit

・ページ30

・

「勝てへん。」
「やから言うたやん。」
「いつか勝つし。」
「いつまでも付き合ったるわ。」

見慣れた近所の住宅街
今まで送らせてくれへんかったのに、今日は並んで歩いても許されてる気がする。

まぁ、ホストやと思ってたら警戒するよな。
姉ちゃんにはレディーファーストって言われてるから、ちゃんと優しくするつもりやけど。

「今日も、ありがとう。」
「いえいえ。こちらこそ楽しかったわ。」

「学校、ちゃんと来た方がええよ。」
「Aちゃんが相手してくれるなら行ってもええよ。」
「…考えとく。」

いうても最近は行ってる方やけどな。
他の男の監視ついでに。

くるりと振り向いて揺れた髪
差し出された携帯に、俺の頭はまたテンパる。

「はよ、QR読み込んで。」
「え、教えてくれんの？」
「パンケーキ、連れてってくれるんやろ。」

脈アリ？
俺、期待してもいいやつ？
ニヤける顔を誤魔化せずに、登録した彼女の連絡先。

「楽しみにしてる。」
「俺のオススメにハズレは無いからな。」

「魔法使いみたいやな、恭平くんって。」

そのまま走り出した背中を、何も言えずに見ていた。
…今のは、あかんやろ。

「…王子様、ちゃうんかい。」

熱くなった顔を手で仰ぎながら、来た道を戻った。
いつか王子様って言わせたるわ。