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「幸せにするって言ったって、君には十分なお金がないだろう？」
「お金は、ちゃんと働いて稼ぎます。」
「高卒の君が貰える金額なんてたかが知れてる。」
やっぱり俺は世間知らずやったんや。
突きつけられた現実に、息が詰まりそうになる。
でも精一杯頭を下げる。
執事になるって決めた時みたいに。
次はそんな上手くいかへんかもしれんけど。
今の俺にはこれしか、ない。
「私は、お金持ちなんかじゃなくていい。」
こんな俺を助けてくれたのは、大好きなその声やった。
「好きでもない人と結婚するより、そっちの方がよっぽど幸せ、だよ。」
また、あんな顔してるんかな。
詰まりながら出てくるその言葉は泣いているように聞こえて胸が痛む。
今すぐその手を握ってあげたいと思うのに。
「…和也くん、こっちに来なさい。」
「はい。」
こんな俺の横でも君は、笑ってくれるんやろうか。
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作者名：ユキ | 作成日時：2022年8月21日 22時
