夢うつつ (ページ24)

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Precious(緑) ページ24

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好きになった子はお嬢様やった。

小さい時はそれがどういうことかよく分かってなかった。
大きな屋敷に通っては、一緒に遊んで。それがずっと続けばいいと思ってて。

でも中学に上がった途端に会う機会が減って、ようやくその差を思い知った。
俺と彼女は、違う世界にいるんやってこと。

執事になったのは、何とかして彼女の傍にいるため。
何度も頭を下げて許してもらった。

「18になったらな、私結婚相手決めなあかんねんて。」

まぁ、それも甘かったんやけど。
決められた、高い身分の相手。俺が勝てるわけがない。

そんな気持ちのまま1年。
俺は誰よりも近くでAを見てきた。

誕生日が近付くたびにその顔が曇っていくのを、見てた。

いつの間にか「俺なら笑わせてあげるのに」なんて
思うようになった。

誰かの横でそんな顔をすることになるなら、
俺の横で笑っていてほしい。

そんな気持ちだけで突っ走った結果、俺はしばらく頭を下げたままでいる。