夢うつつ (ページ22)

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「久しぶりやね。」
「久し、ぶり。」

吹っ切るために会いたいとか、甘かった。
前よりさらに綺麗になった彼女に”好き”が蘇る。
やっぱり、彼氏出来たんかな。

「髪染めたんや。高校の時、染めたいって言ってたもんな。」
「おん。正門と、一緒に。」
「まだ正門くんと仲ええんや。」

今言わな、後悔する。
頭ではそう分かってるのに声にならへん。
もどかしい気持ちだけが勝手に自分を急かす。

「…イケメンやもんな。」
「え、？」
「あぁ、どんな髪色でも似合うなぁって。」

無理矢理笑って誤魔化したその顔
なぁ、俺期待してもいい？なんて心の中で呼びかけて。

覚悟を、決めた。

「俺、やっぱりまだAのこと好きや。」

ずっと、ずっと後悔してた。
一時の感情だけで別れを選んでしまったこと。
ちゃんとお礼も言えずに連絡を絶ったこと。

「ホンマにごめん。俺めっちゃ子供やったし、傍におってくれる有り難さとか全然分かってなくて。」

考えてた言葉も全部飛んだし。
自分でも上手く話せてるか分からんけど、とにかく目を見た。彼女に届くように。

「やから、次は大事にする。てか幸せにする！
俺と、やり直してくれませんか。」

黙って聞いてた彼女の顔が歪む。
瞳から落ちた雫が頬を伝った。

「…はい。」

行き場のない気持ちが消えるまで
あと、2秒。