夢うつつ (ページ21)

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Aとは高1の夏に付き合い始めた。
それからほぼ3年。なんやかんや一緒におって、高校を卒業した。この関係がこのまま続けばいいと思って。

でも大学に入学してから、すれ違うようになった。
違う大学に通う彼女に頻繁に会えへんくなって、不安も募って。そして、別れることになった。

「連絡すればええやん。」
「…新しく彼氏出来てたら耐えれる自信ない。」

Aは可愛い。
それまで彼氏がおらんかったのも、"高嶺の花"やったからで。実際話してみたらフレンドリーやしモテると思う。
彼氏が出来ててもおかしくはない。

「振り切るか戻すかせな、しんどいのは自分やで？」
「なんやねん。自分がリア充やからって。」
「そんなん一言も言ってへんやん。」

正門の言うことが正しいのは分かってる。
ただ、拒絶された時のことを考えると動けへんくて。
俺はずっと彼女のことを忘れられずにいる。

「どっかで会えへんかな。」

忘れるにしても、ヨリを戻すにしても。
もう一度だけ会いたい。その声を、聴かせて。

Aの匂いってどんなんやったっけ。
どんな声やったっけ。
なんて、少し考えれば手に取るように思い出せるけど。

忘れるために消したデータは、もうどこにも残ってへん。
それでもあの頃の思い出だけは俺の中に残ってて、
面影だけを映し出す。

この行き場のない気持ちはどうすればいい？
誰か、教えてくれたらええのに。