夢うつつ (ページ1)

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ルビーの甘さ(桃) ページ1

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「それ、一口ちょうだい。」
「めっちゃ美味しいで。」

その手に握る真っ赤な飴があまりにも綺麗で欲しくなった。きっとそれを持つ君も相まって。

「うまっ、」
「やろ！」

「みっちーなら分かってくれると思ったわ。」って。
昔は駿佑って呼んでくれてたのにな、なんて思いながら来た道を戻る。

Aとは10年以上の付き合いになる。
昔は漠然と"ずっと一緒にいる"なんて思ってたけど、
中高と歳を重ねるにつれ目に見える距離が出来た。

呼び方もそう、
名前で呼んでるのは俺の方だけ。

「やっぱ花火見ると夏って感じるよな。」
「まあそやな。」
「夏休み、もう終わるけどさ。」

この距離をなんとか縮めたいと思いつつ、
この関係を壊したくないとも思う。

幼馴染って良いことばっかりじゃない。
ましてや、今の俺にとっては。

「あ、今年まだ線香花火してへん！」
「…じゃあ今からする？」

少しでも一緒に居たいと引き止めた言葉も
きっと気付かれることは無いんやろうけど。