三/橋貴志※ ページ30
「何してんの」
Aん家のソファで後ろを振り向けば、さっきからテーブルの上で一生懸命何かを作る彼女の背中が映った
『ふふ、内緒』
すると楽しそうな声だけが返ってきて、俺の頭の中の疑問は解決されないまま
かれこれ数十分は放置されてるわけで
「…こっち来れば」
『うん、終わったらね』
俺の渾身の一撃はあっけなく交わされてしまった
それからやっぱり振り向きもしないAに、なんだか面白くなくて
小さく息を吐いてソファに座り直す
テレビでも見ようかとローテーブルに置かれたリモコンを目にすれば
「できた」と言う声に俺の前まで来た彼女は満面の笑みで、背中に隠していた手が出てきたと思えば俺の頭に何かが載った
「?何これ」
『王子様』
「は?」
『三橋くんは王子様みたいだから』
そう言ってニコニコするAが、前にもそんなことを言っていたなと思い出す
彼女の言う王子は金髪で強いらしい
「こんなの作ってたわけ?」
頭の上にあるそれを手に取れば、よく幼稚園のお遊戯会や誕生日会で先生が作るような王冠で
『あ、取らないでよ』
俺の座るソファに乗ってきたAは俺の手に手を伸ばした
『一生懸命作ったんだから』
そう言った彼女の手をかわしてポンとその力作を彼女の頭に乗せてやる
『もう、三橋くんのなのに』
不満に唇を尖らせたAの腰を引いて
「まるでお姫様」
『全然思ってないくせに』
「思ってるよ。だって王子の相手はお姫様だろ?』
やっと俺だけを映したその瞳にキスを落とした
(三橋くんのえっち)
(別にえっちなことしてねーじゃん)
(ちゅーした、じゃん)
(ちゅーはえっちじゃないですー)
(もう。すぐそうやって言い返すんだから)
(じゃあもっとえっちなちゅーしちゃおー)
(なっ、王子様はそんなことしないんだよ!)
(王子だって男なんだからそういうこと考えてんの)
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甘ったるい三橋くんを書きたかったので
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成田(プロフ) - 夢子さん» 夢子さん、コメントいただけるの本当に嬉しいです!!書く気力が湧き出てきます!ありがとうございます!そして大嶽くん読んでくださって嬉しいお言葉もありがとうございます!中編、近々上げられたらいいなと思っておりますので、その時はまたよろしくお願いします! (2020年8月28日 21時) (レス) id: 5763570508 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - 続け様にコメントすみません、大嶽さんなかなか見かけないのですっごく嬉しいです…!いつか出るであろう中編も楽しみです!今回も最高でした〜! (2020年8月28日 16時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 夢子さん» こんにちは!嬉しいお言葉ありがとうございます!きゅんきゅんしていただけたなんて嬉しいです!更新がんばりますのでまた読みに来てくださると嬉しいです! (2020年8月10日 13時) (レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - ハグの日とってもときめきました!どのお話もきゅんきゅんしながら読ませていただいてます、更新が楽しみです!! (2020年8月10日 8時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 依織さん» はじめましてこんばんは!柳くん読んでくださったんですね!ありがとうございます!!大嶽さん!!リクエストありがとうございます!また新たな挑戦楽しみです!気長に待っていただけると嬉しいです!そして嬉しいお言葉もありがとうございます! (2020年8月6日 23時) (レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
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