今日から俺は 短編３

大/嶽重弘（Ｒ） ページ26

大嶽さんが好き

そう思い始めたのは、つい最近で。たまたまツッパリに絡まれているところを助けてもらったというベタな展開から彼が好きになった

正確に言えば、細い路地で道を塞いでいた私達に邪魔だと声を掛けた大嶽さんを見てツッパリ達が逃げ出したというだけなのだが

それでも助けてもらったことには変わりないし、私の心臓は彼を見るたびに反応するようになってしまった

そんな私は今日も少し前を歩く大きな背中を電柱の影から瞳に映す

友達にはストーカーじゃんと言われたが北根懐高校の彼に安易に近づくことなんてできるわけがなくて、こっそり見つからないように彼を見る日々だ

いつも一緒にいる柳さんと別々の道に歩き出して、角を曲がった大嶽さんに勿論私も後を追えば


『あれ…？』


曲がった先には誰もいなかった


『おかしいな』


確かに大嶽さんはここを曲がったのに。何が起きたのかわからないこの状況に首を傾げながら歩けば


「オイ」


思わずビクリと揺れてしまった肩に振り返ると、私の左側。細い路地の壁に寄りかかる大嶽さんがいた


「俺になんか用か？」


その言葉はその瞳は私に向けられていて、ドキドキと揺れだした心臓と見つかってしまったという焦りが入り混じる


『あの、あの…』


私の目の前に来た彼を見上げて、この近さに熱くなる頬


「最近俺の後追ってただろ」


バレていたんだ。てっきりうまく隠れていると思っていたのに


『あの、その、』
「何か――」
『大嶽さんのことが好きです！！』
「…は、」


言ってから何を口走っているんだと急いで口を押さえてももう遅い


『す、すみませ…』


自分の失態にジワリと滲み出してきた涙


「っ、なんで泣きそうなんだよ」
『すいません…いきなりその、迷惑でしたよね…』
「迷惑っていうか、まぁ驚きはしたけど」


そう言って頭をかいた大嶽さんは若干恥ずかしそうで、初めて見る姿にまたキュッと心臓が鳴る


『可愛い…』
「はぁ？」
『す、すいませんっ…！！』


また余計なことを言ってしまったと口を噤んで、


『と、とにかくっそういうことなんでっ…！』
「は――」


また余計なことを口走る前に熱い頬を抱えて走り出した




(大嶽、またいるぞあの子)
(あ、あぁ…)
(え、なんで赤くなってんの)
(あ？なってねーようるせぇな)



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意識し始めちゃった大嶽君でした

リク有難うございました
本当は最初に浮かんだ話があるのですが短編で収まりそうになくていつか中編で…

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