34(冬休みのひとこま) ページ34
意外と短かった正月休みが終わって、再びいつもの生活が始まった
休みの日はほとんど彼女と朝から一緒にいたせいか、Aのアパートじゃなく開久に向かう足がなんだか変で
今日会えるのはお互い学校が終わってからかと小さくため息をついた
冬休みは特に予定が決まっていたわけじゃなく、彼女が行きたいと言った雑貨屋や地元をブラブラして、少し遠くの喫茶店にも行った
そして初めて彼女と水族館に行った
その日は朝からアルバイトだったAを迎えついでに喫茶店でコーヒーを飲んで
彼女の仕事が終わるのを待っていたんだ
すると俺の前に現れた彼女の手には水族館のチケットが握られていて、「マスターがくれたの!」と嬉しそうに言った彼女は目がキラキラと輝いていた
「今から行くか?」
『いいの?』
「あぁ」
そんな顔をされたら連れて行きたくなるのは当然で、喫茶店を出ると駅へと向かった
少し長い電車に揺られて、着いた水族館はこの時間帯だからか意外と空いていて
『早く行こ』
俺の手を引く彼女は水族館が好きなのだろうか
嬉しそうにする彼女を見てまた一つ好きなものを知れた気がした
薄暗い館内にライトアップされた水槽は綺麗で、初めて見る魚の中にたまにテレビで見たことある魚を見つける
色んな種類のクラゲやペンギンなんかもいたりして
通路を抜けると少し開けたそこには大きな水槽が広がっていた
まるで自分が海の中にいるような感覚になって、その大きな水槽を見上げていればずっと繋がれていた手を彼女がギュッと握った
きっと無意識だったんだろう。Aを見れば水槽に夢中で、そんな彼女の横顔がとても綺麗だった
ずっと、ずっとこのままでいたい
『ん?何?』
「いや、なんでもねぇよ」
すると微笑んだ彼女に、その小さな手を握り返した
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成田(プロフ) - 夢子さん» 夢子さん!嬉し過ぎて震えました…(泣)そんな素敵な言葉をいただけるなんて本当に嬉しいです!!こちらこそありがとうございます!!こちらの長編も読んでくださってありがとうございます!これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!! (2020年8月30日 23時) (レス) id: 5763570508 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - 今まで相手役の子より夢主が年上の設定の作品は読んでこなかったのですが、貴方の短編集が、文章が好きで覗き込んでみたら一瞬で引き込まれてしまいました…。作品の展開も表現も相良くんのキャラクターも全てが好きです。心に響く素敵な作品をありがとうございました! (2020年8月30日 12時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - chonsa104さん» また読んでくださると嬉しいです!完結済みにもかかわらず読んでくださりコメントくださりありがとうございました! (2020年7月24日 23時) (レス) id: 92ba9ef84f (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - chonsa104さん» こんばんは!コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉ありがとうございます!甘い相良くんというのを目指して書いていたので少し不安だったのですがそう言ってもらえて嬉しいです!続編は気が向いたらと考えておりますのでもし続編を書いた際には → (2020年7月24日 23時) (レス) id: 92ba9ef84f (このIDを非表示/違反報告)
chonsa104(プロフ) - このお話本当に大好きです…!今後もまた続きがあったら嬉しいです。相良くんもとても相良くんらしくて、彼女さんも可愛くてお話の内容もとても面白いです。 (2020年7月24日 20時) (レス) id: 6d074c0df9 (このIDを非表示/違反報告)
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