君を振り向かせるのは５【HQ】

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木兎side



髪に触れるAの手が気持ちいい


優しくてふわふわとした気持ちになる


Aが俺の彼女になったら毎日髪の毛乾かしてもらおう。うん、決めた


目の前にあるAの細い腰に手を伸ばして抱き寄せようとすれば引っ張られた腕



「木兎さん」



つーかなんで赤葦まで付いてきてるわけ？


髪乾かしてもらってるの俺なんだから来る必要なくね？



「赤葦ーもう行っていいよ」



だからそう言ったのに、行くわけないとか意味わかんない返事が返ってくる


俺はAと二人きりでいたいのに、意味ねぇじゃん



「A？」



するとふと感じた違和感


今、A違うこと考えてた。ただの勘だけどそう感じたんだ


別にと言っていたけれど、今何考えてたの？俺じゃなくて誰のこと考えてたの？


カチリと音がしてドライヤーを片し始めたA



「なぁ、黒尾いなくて寂しい？」



本当は名前なんて出したくないのに、つい口をついて出てしまった言葉


しかも、当然否定してくれると思ったのに、その答えは否定ではなかった


なんで否定しねーの？肯定ともとれる言葉なんて聞きたくないのに……


するとドライヤーを片して俺の前に再び来たAが随分真面目な顔をするから、何を言われるんだろうと思ったら



『木兎さん、私、木兎さんの髪の毛乾かしました。木兎さんに構いました。この後の時間は潔子さんに専念します。いいですね？』



もう俺には十分構ったと言う


え、これで！？これで構ったって言うの！？


その発言に若干のショックと驚きを隠せなかったけど、


考えてみれば赤葦もいるし、どこかAの気が違うところにあるのもわかる


だから俺はいいことを思いついたんだ




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