君を振り向かせるのは５【HQ】

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次の日、当然私は寝不足だった


前に好きだった人に今も好きだと告白されて眠れるほど神経は図太くできてないみたいで



『あ……』
「おはよう」



いつもより早い朝に水飲み場に行けば赤葦くんがいて、少し気まずい…



『お、おはよう……』



昨日の今日でこんな時間に会ってしまうなんて、と思ったけれど、もしかしたら赤葦くんも眠れなかったのかもしれない


そうだよね、告白した方もきっと気になってしまって眠れない。私が赤葦くんだったらきっとそうだ


赤葦くんの隣に立って、手首にぶら下がっているヘアゴムで髪を結んで顔を洗う


冷たい水にさっぱりとしてタオルで顔を拭きながら隣の赤葦くんをチラッと見れば、一瞬合った目にすぐそれを逸らしてしまった


あ、今のあからさま過ぎたかも……



「昨日の今日で気まずいとか思ってるでしょ」
『え！？なんでわかったの……あ、』
「わかったっていうか、普通そうかなって」



そう言って微笑んだ赤葦くんに心臓あたりがキュッとなる



『ごめんね、なんか……』
「ううん、そうさせたの俺だし」
『う……』
「昨日も言ったけどさ、返事、ゆっくりでいいから」
『うん…』
「それと――これは俺のわがままなんだけど」



スッと私の手首に触れた赤葦くんの手



「今日はこのヘアゴムしないでほしい」
『え……』



手首には銀色のネコのヘアゴムがあって



「黒尾さんから貰った物だってわかってて言ってるよ、俺」



真剣なその瞳に心臓が痛くなった



「こんなんでも嫉妬するんだよね。だから」
『っ、わ、わかった……』



だからこれ以上そんな瞳で見ないで



「ごめんね、ありがとう」



そう言うと私の頭をひと撫でして去って行った赤葦くん


答えはもう決まっているのに、それが言えなかった



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