検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:4,143 hit

ページ10

「あ、でもAこの間俺のこと無視したからなぁ」



そう言って唇を尖らせた信虎くんはこの間の金曜日のことを言っているのだろう



「俺に気付いてたでしょ?」
『まぁ。でも別にもう関わることないじゃん?私達って』
「えー。一緒に寝た仲じゃん?」
『なっ…』



何を言い出すのかとその両頬を抓って



「変なこと言わないで。絶対にやめて」



誰に聞かれているわけじゃないかもしれないけど、彼氏がいる身でそんな誤解されるようなこと言われるのは困る



「ちぇっ抓ることないのになぁ」
『変なこと言うからでしょ』
「はははは、それにAのおにぎりチョー美味かったし」
『それはよかった。ほらじゃあもう帰りな。仕事もあるんでしょ?』
「あるけどさぁ……はい」



すると差し出されたのは某有名チョコレート店の紙袋で、結構値段が張ることを知っている

去年のバレンタインに彼氏にあげたからだ



『…こんないいもの貰えないんだけど』
「え!?でもAの為に買って来たんだけど」
『この間の焼き菓子もそうだし、私なんかにお金使っちゃ駄目』
「でもAの喜ぶ顔見たいし。あ、この間のやつ美味しかった?」
『うん。すっごい美味しかった。ありがとね』
「ほら、それ。俺はそういう笑顔が見たいの」



柔らかく笑った信虎くんが私の頬に優しく触れる



『っ、とにかく、私にはこういうのいいから。ね!』
「チョコは?」
『……せっかく買ってきてくれたし貰っとく、』



紙袋を受け取れば満足そうな顔をした信虎くん



『もうこれで鶴の恩返しはおしまいね?もう来なくていいからね』
「えー」
『ほら、仕事行く!じゃあね!』



トントンと背中を押せば渋々といった感じで歩き出した信虎くんは、私に手を振ると薄暗い道に消えて行った

▽→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月17日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。