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やっと来た金曜日
いつもの如く残業を終えると同期の友達と歓楽街へ来ていた
『今日は飲むぞー!』
「気合い入りすぎ」
『何日残業してると思ってるのよ!』
今日はとことん飲んで仕事や上司の愚痴をぶちまけるんだ
「確かに残業多いよねぇ。あ、見てあの有名な焼き菓子のお店」
居酒屋に向かって歩いていれば、ふと気付いた友達が指を差して
「こんな時間でも並んでるとか凄いわぁ」
そんな言葉を耳にふと思い出したのは信虎くんのことだった
わざわざスエットを返しに来てお礼のお菓子まで持って来るなんて意外と律義だったなと思い返して
あの後彼から貰ったここのお菓子を一人堪能した私は美味し過ぎて残業の嫌なことが吹っ飛ぶほどだった
「Aは食べたことある?あそこの焼き菓子」
『あーうん、ある』
「ほんと!?並んだの!?」
『ううん、たまたま貰ってさ』
「何それすごいラッキーじゃん!」
『だよね』
そう言って笑っていれば
「A!」
聞こえた私の名前を呼ぶ声
「A!こっちこっち!」
その声に辺りを見渡すと、少し遠くにジャンプしながら手を振っている信虎くんがいて
「A知り合い?」
『い、いや、知らない』
合った瞳はすぐに私から逸らした
「ほんとに?あの子ずっと手振ってるけど」
『知らない知らない』
「なんだろう?でもすごいイケメンじゃん。ホストかなぁ」
『さぁ?ほら行こう』
「おーい」と聞こえる信虎くんの声を無視して友達の服を引っ張ると再び歩き出す
信虎くんだってわかってはいたけれど、もしこの友達にどういう関係かと聞かれたらどう答えていいか分からない
別に彼とは友達になったわけでもないし、もう関わることがないのだからわざわざ関わらない方がいい
『はい!居酒屋着きましたー!』
「テンション高」
『ほら早く行こ!』
彼には彼の世界があって私には私の世界があるのだから
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