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『なんでここに…?』
何故彼が
まさかもう一度会うなんて思うわけがない
「これスエット。ちゃんと洗ったから」
『あげるって言ったのに』
「それとお菓子。うちの店に来た子から聞いたんだけど美味しいんだって」
『ありがと…』
スエットの入った服と共に渡されたのは有名な焼き菓子屋さんのもので、一度は食べてみたいと思っていたけれど行列に並ばないと買えないやつだ
『これ、有名なところだよね』
「え?知ってるの?スゲー並んでてさ」
『わざわざ並んだの?』
「うん。美味しいらしいしA好きかなと思って」
『ふふっ』
きっと女の子ばかりだっただろうに、彼が並んでいる姿を想像するとおかしくて出た笑い
『ありがとう。ちょっと元気出た』
「元気なかったの?」
『ちょっとね、残業で疲れちゃってさ』
そう言うと伸びて来た彼の手が優しく私の頭に触れて、いい子いい子と撫でる
「お疲れ様」
『っ、ちょ、そういうのいらないってばっ』
一瞬、心が安心してしまった自分にハッとして、払った手
『ほら、もう帰って』
「えー。せっかくAに会いにきたのに」
そう可愛らしく言った彼に、多分大抵の女の子なら可愛いと胸がキュンとするのだろう
『はいはい。わざわざありがとね。これから仕事でしょ?』
「え!なんでわかったの!?」
『名刺貰ったでしょ』
そう言えば「あ、そっか」と屈託のない笑顔で笑う
『じゃあありがとう。これ遠慮なくもらっちゃうね』
「うん!」
『じゃあね』
「またね!」
手を振る彼に手を振りかえして、部屋の扉を開けた
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