信虎くんに懐かれました (ページ48)

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▽ ページ48

信虎side

『あ、手に付いちゃった』

今日のAはいつもよりなんだか優しくて、楽しそうで、よく笑っている気がした

『ん、あま』
「俺も食いたい」
『信虎くんさっき苺食べたじゃん』
「生クリームも食べたいじゃん」
『じゃあ余ったらね』
「えー」

生クリームを塗ったケーキに、今度は生クリームでデコレーションして

「俺もやってみたい！」
『いいよ』

渡された袋に力を入れれば思った以上に生クリームが出ちゃって

『ちょっとーもー』
「出過ぎちゃった」
『次私やるから貸して』

柔らかく笑う

『ねぇ、全然修正できない』
「あ、じゃあここに苺乗せたらいいんじゃん？」
『ちょっ、ここの位置変だって』
「じゃあこっちにも乗せる？」
『もー。どんどん酷くなる』

お互い笑いながら作るケーキは楽しくて。好きな人とこうして一緒にいられるなんてスゲー幸せで

「じゃあ次はここ？」
『待って待って次私に乗せさせて』

Aが可愛くて

『どう？これで。ちょっとは見栄え良くなったんじゃない？』
「えー」
『えーって何よ』

どんどん俺を好きにさせる

『最後に粉砂糖かけて…よし！完成！どう？』

見上げた瞳が、俺と合って

「キスしていい？」

出てしまった言葉

言ってから何馬鹿なこと言ってるのって怒られるなと思ったけれど

『え……？』

俺を見つめたままそう言ったAは動かなくて

あれ、これってしていい感じ……？

ゆっくりとゆっくりと顔を近づければ

『っ、だ、だめ、』

唇にあたったAの手のひら

ほんのり顔が赤くて

こんなA、初めて見る

『な、な、何考えてるの！』

先に視線を逸らしたAは使った道具を片し始めて

えぇ…何、今の反応……

『え、どうしたの！？』

気が抜けてその場にしゃがんで覆った顔

可愛い、可愛い可愛い可愛い

反則だって今のは

手をずらして顔を上げれば合った瞳

「誕生日なのに」
『なっ、誕生日だからってそれとこれとは話が別っていうか、そもそも意味わかんないじゃん、』

――Aのことが好き――

ジャブは打ったつもりだったんだけどなぁ

「意味、わかんないかぁー」

立ち上がって視線を合わせて

「ねぇA」
『な、に…？』
「俺がナンバーワン取ったらさ、俺と付き合ってよ」

そう言えばパチパチと瞬きしたAはキュッと唇を結んだ