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ピピピピ・ピピピピ


耳に聞こえるいつもの電子音に手探りでスマホを探すとボタンを押した

もう朝か、起きたくない

布団が暖かくて心地良くて、ずっと寝ていたいのにとゆっくりと瞳を開けると

目の前には綺麗な顔が寝息を立てていて



『きゃあっ!!』
「いてっ」



思わず蹴飛ばしてしまった



「いってぇ……」



ベッドから落ちた彼が頭を掻いて



『な、なんで一緒に寝てんのよ!!』
「えーだって寒かったんだもん。それに、みんな一緒に寝るの喜んでくれるんだけど」



ベッドに腕を着いて小首を傾げる彼――信虎くんがあざとい



『私は全然喜ばない!ほら、どいて!支度するから!』



ちえっと唇と尖らせる彼を無視して、会社に行く支度を始めた



――昨日、あれからお風呂を出てリビングに行くと信虎くんはソファに寝ていて

何度声を掛けても揺さぶっても起きる気配のない彼に私は諦めて寝ることにした

知らない男を泊まらせるなんてほんとどうかしてるって自分でも思う


化粧と髪が終わると着替えてキッチンに向かって

朝は時間がないから会社で食べるおにぎりとお昼のお弁当を作る



「あ、いい匂い」
『私これから仕事だから信虎くんも出る支度して』
「はーい」



緩い返事を聞きながら出来上がったお弁当を鞄に詰めリビングに戻れば



「見て!乾いた!」



赤いチェックのスーツを着た彼がそこにいた



『よかったね』
「それで、はい。俺の名刺あげる!」
『名刺?』



彼が差し出したそれを受け取って見れば

クラブサンマルチノ・伊集院信虎とそこには書いてあって



『……』
「ん?どうした?」



ホストだったのかー…と今知った

少しおかしな子だとは思っていたけど、ホストだと知ったら昨日からの彼の言動も納得できてしまう



『ううん、なんでもない。じゃあ行くよ』
「え!早い!」



玄関に向かう私に着いてくる信虎くんと共に外に出て



『はい。おにぎり。後で食べなね』
「え?」



扉の鍵を閉めると、先ほどついでに作ったおにぎりを彼に渡す



「もらっていいの?」
『ついでだから。じゃあね』
「あ、ちょ、待って!そういえば名前!」
『え、別にもう会わないしよくない?』
「でも、名前教えてよ」



笑顔の彼に名前なんて知ってどうするんだと思ったけど



『A』



それだけ言うと会社に向かった

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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月17日 12時

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