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彼の気持ちを知ってしまってから、どう彼に接していたのか分からなくなってしまった



『お疲れ様でした』



珍しく残業のなかった今日は会社を出ると真っ直ぐと家に向かって。家の最寄り駅の反対口にあるスーパーに寄った

そういえば前回定時で帰ったのは元彼の最悪な現場を見た日だったっけと嫌なことを思い出して

買い物を終えるとスーパーの袋を手にぶら下げながらいつもの道を歩く


――A!――


見えてきたアパートにいつもなら信虎くんがいるのに今日はいなくて。多分時間が早いからだ

彼に会わなかったことに少しだけホッとすると家に入った

平日に夕飯を自炊するのは久しぶりで、ただ単に食べたくなったという理由でオムライスを作ることにした

そういえば信虎くんはいつも何時ごろに来ているのだろうか

私がこのまま家にいたら彼は私を待ち続け、諦めて仕事に行くのだろうかとそんなことが過ぎってしまい一応確認の為だと一旦料理を中断して玄関のドアを開けた

すると丁度向こうから歩いてくる信虎くんの姿が見えて、もう少し遅くにドアを開ければよかったかもしれないと怖気付いてしまう

どうしようか、と考えていれば



「あれ?A!」



私に気付いた信虎くんが駆け寄って来てしまった



『あ、えっと、お疲れ様、』
「今日仕事は?」
『定時上がりだったの』
「そうなんだ。おかえり」
『ただいま』



玄関に入っている私がただいまというのはなんだか変な感じがする



「仕事お疲れ様」



いつものように信虎くんが私の頭を撫でて、それを払って



「料理してたの?」
『うん、そう』
「エプロン似合ってる」
『ありがとう、』



いつもなら仕事に行きなと言うけれど、この時間は多分早くて

なんて言おうか

恐る恐る上げた瞳はバッチリと合って



『…今から、夕飯だけど、信虎くんも食べる…?』
「え!食べたい!」



どうしたらいいかわからなくて出た言葉は、何故か夕飯を誘ってしまったけれど、キラキラとした信虎くんの瞳はとても嬉しそうだった

▽→←5



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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月17日 12時

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