信虎くんに懐かれました (ページ39)

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今日も残業を終えて帰れば

「A！」

私に気付いた信虎くんが手を振って小走りで近づいて来た

「おかえり！」
『ただいま、』

いつもと変わらない信虎くんは、お疲れ様と私の髪を撫でる

もしかしたら彼がこうして待っているのも優しいのも私が好きだからなのかもしれないと思えば、何かと合点がいって

彼氏がいたからそれは絶対にないと思って彼氏の話とか愚痴とか普通に言ってたけど、悪いことしちゃったかもしれない

「A？」
『あ、ううん。なんでもない』

なんか、調子狂うなぁ…

その手を払って

『じゃあ仕事いってらっしゃい』

いつものように振る舞っているつもりだけど、大丈夫だろうか

「えー早い」
『いいからほら。仕事がんばってね』
「まだ一緒にいたいのに」

そう言って私の手を取った彼に心臓がドキリと鳴った

『はいはい。いってらっしゃい』
「えー…いってきます」

ふてったように唇を尖らせた信虎くんがそう言うとそっと私の手を離して

大丈夫。多分いつも通りでいられてる

歩きながら振り返って手を振る彼に手を振りかえした