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『ん……』
目を覚ませばベッド脇で眠っている信虎くんがいて、起こさないように布団を掛けるとベッドから出た
今朝方、カチャリと聞こえたドアを開ける音に意識が覚めて
「ただいま」
信虎くんが来たのだと気付いた
けれど起きるのも面倒で
額に触れた彼の手
このまま目を閉じていればそのうちまた眠りに入るだろうと思っていれば
「好きだよA」
聞こえてきた言葉に心臓がドクリと鳴った――
知らぬ間に手放していた意識に次に目を覚ませばやっぱり信虎くんがいて
夢じゃなかった
彼に気付かれないように洗面台に行くと手で顔を覆って
――好きだよ――
信虎くんが私を?
いや、もしかしたら私が寝惚けてそう聞こえたと妄想しただけかもしれない
まさか、ね
だって私、彼氏いたし――
「A……?」
聞こえた声にハッとして洗面所から出れば目を覚ました信虎くんと目が合って
「よかった、いて」
『おはよう』
「はよ」
緩く笑った彼に何もなかったように振る舞う
「体調どう?」
『大丈夫。体もダルくないし。信虎くんはなんでうちにいるの?』
「あぁ、鍵閉めないと危ないなぁと思って。俺が仕事行ったら開けっぱなしになっちゃうから鍵閉めて行って帰ってきた』
それでここに帰ってきたのかと理由を知った
『手間とらせてごめんね』
「ううん。Aの体調も心配だったしさ」
『そっか。ありがとう』
「今日仕事行くの?」
『うん、行くよ』
そう言うと先に視線を逸らして支度を始めた
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