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信虎side
Aが寝たのを確認して、店へと向かった
店に着けば歩夢が待っててくれて
「お前罰金だぞ?」
「わかってるって」
笑いながら更衣室の鏡に向かって髪を整えた
「ったく、この間任せた俺も俺だけど。あの女になんか弱みでも握られてんのか?」
「何弱みって」
「客でもねぇんだしお前がそこまで構うことねぇだろ。言い寄られてんなら――」
「違うよ。俺がAのこと好きなんだよ」
「あ?」
鏡越しに歩夢と合った目に振り返って
「Aのこと好きなんだ。彼女にしたいと思ってる」
真っ直ぐとそう言った
「おま……彼女って、そんなの作って他の女達に知られてみろナンバーワンどころか――」
「だーいじょうぶだって。バレなきゃいいんだろ?」
「そんなのバレるに決まってんだろ」
「平気だって」
「平気じゃねーよ」
そう言えば大きなため息をついた歩夢
「うーん…だったら俺がナンバーワンとったらいい?」
「ナンバーワン取ったってそれを維持しなきゃなんねーだろ」
「大丈夫。俺頑張るからさ」
「信虎、」
歩夢の声も聞かずに歩き出せば
「……アイツはお前のことそう見てないって言ってたぞ」
俺の足を止めたそれ
「え!歩夢Aと会ったの!?」
「……まぁ、その、なんだ。たまたま?」
「そっかぁ…まぁ彼氏と別れたばかりだしなぁ……まぁでもいいや。それでも俺はAが好きだし」
「望みねぇ女にかまけたってしょうがねぇだろ」
「それでもいいんだよ。だって、いつか振り向いてくれたらめちゃくちゃ嬉しいじゃん?さ、今日も飲むぞー!」
扉を開ければいつも通り煌びやかなホールが飛び込んできて
「ったく、ナンバーワン、なれんだろうな」
「おう!俺に任せろ!」
歩夢と共に踏み入れた
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