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今朝は平気だったんだ
夕方、今日もあった残業にパソコンと睨めっこしていればふとダルいことに気付いて
昨日もう少し対策しておけばよかったのかもしれない
まさか私まで風邪をひくなんて……
『ケホッ……』
会社帰りに近くのコンビニでマスクを買って
まだ熱は出ていなさそうだけど、この感じは絶対に熱が出る
動けなくなる前に早く帰らないとと電車に乗って、家の近くの駅に着く頃には寒気に襲われていた
『早く帰らないと……』
いつもの薄暗い道を足早に歩いて
「A!」
聞こえた声に信虎くんがまたいると認識する
「おか――」
『近づかないで』
「え……?」
近付いて来た彼に制止をかければ驚いた顔
『私、多分風邪ひいたから。近付いちゃ駄目』
「え!?もしかして俺の移った!?」
『わからないけど、とにかく私はすぐに寝るから。信虎くんは仕事いってらっしゃい』
彼の横を通り過ぎて部屋の鍵を出せば追いかけて来た信虎くん
「移しちゃってごめん!大丈夫?」
『大丈夫だから』
「何か買ってこようか?」
『大丈夫、だから』
ダルい
体が寒いしうまく動かなくて
「A…?」
ドアを開けて玄関で静止してしまった体
「大丈夫?」
『う、ん……』
節々痛い…動けない……
体が重くてズルズルとしゃがみこめば
「捕まって」
『え……?』
ふわりと浮かんだ体
『ちょ、なに……』
「ベッドまで運ぶから」
お姫様抱っこなんて生まれて初めてされたんだけど、という言葉は口から出なくて
ぼーっとする頭にベッドの柔らかい感触が背中に触れる
「何か食べる?」
首を横に振って
「薬は?」
『のむ、』
そう言うとテーブルの上に置きっぱなしだった風邪薬を取ってくれて
「はやく仕事行きなね」
そう言うと薬を飲んで布団にもぐった
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