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会社から家に帰ればやっぱり信虎くんがいて
「おかえり!」
『ただいま』
いつもと変わらない信虎くんに、今日歩夢くんに会ったことは言わない方が良さそうだと思った
この様子だと信虎くんは知らなそうだし、余計なことはしない主義だ
――邪魔だけはするなよ――
邪魔しているつもりはないけど、思えば彼はホストだ
彼に恋をしてお店に通っている女の子達はたくさんいるわけで。その子達からしてみたら私はただの邪魔者に過ぎない
「A?」
『あー…ううん、』
不思議な顔をして私を見る信虎くんになんでもないと首を振って
『じゃあー仕事いってらっしゃい』
そう言えばつまらなそうに唇を尖らせる
「すぐ行かせようとする」
『だって仕事だし』
「俺はまだAと一緒にいたいのに」
『はいはい。いってらっしゃい』
ポンポンと彼の背中を叩いて促して
『仕事、頑張ってね。でも無理はしないように』
ナンバーワンを取ることがどれだけ大変なのか私にはわからないけど、きっと無理をすることも沢山あると思うから
「心配してくれてる?」
『んー、少しね。飲み過ぎて前みたいに道端で寝てたら大変でしょ?』
「まぁ確かに。でも――Aに会えた」
『うん、そうだね』
そう言えば柔らかく笑った信虎くんは、いってきますと手を振ってから歩き出した
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