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「Aってアンタだよな」
今日も残業を終えて会社を出れば、目の前に金髪の男の人がいて
え、誰……
全く知らない人なのに彼は何故私の名前を知っているのか
「俺は歩夢。アンタに話があって」
『歩夢、さん……?』
どこかで聞いたことある名前
歩夢、あゆむ
『あ、信虎くんの』
信虎くんに初めて会った時彼の名前を呼んでいた
でも、何故信虎くんの知り合いが私に話があってきたのか
「信虎のことそそのかさないでくれるか?」
『……ん?』
今なんて言ったの?
私が信虎くんをそそのかしてる…?
「アイツはナンバーワンになる男だ。興味本位でちょっかい出されると――」
『ちょ、ちょっと待って。確かに信虎くんは毎日のようにうちの前にいるけど私たちそういう関係じゃないっていうか……』
ふと思えば私と彼はどういう関係なのだろうか
友達、とも言い難いし……
知り合い…?というよりかは近しい気もするけど……
『とにかく、信虎くんとは何もないから』
するとジッと私を見てきた瞳はまだ疑っているようで
「アンタにはわからないだろうが、俺らは必死にやってきてんだよ。もうすぐナンバーワンを取れるんだ。女なんて作ったら……」
『大丈夫。そういうのじゃないから』
多分
彼もきっと私に恋愛感情というよりかは懐いているという感じだし
「じゃあ信虎に恋愛感情はないんだな?」
『ない。私、彼氏いたし』
「いた?」
『あ、この間別れちゃったんだけど、それでもまだ恋愛する気とかなれないし』
そう言えば納得してくれたのか小さく息を吐いた彼が近付いてきて
「邪魔だけはするなよ」
念を押すようにそう言うと去って行った
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