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「A!」
今日も帰ればアパートの前に信虎くんがいて
『なんか、今朝会ったばかりだから変な感じがする』
「あー、確かに?でも俺はAにいっぱい会えるの嬉しいけどね」
無邪気に笑う姿はほんと子供みたいだ
「おかえり」
『ただいま?』
なんとなく、改めておかえりと言われた言葉にそう返してみれば彼は満足そうで
「今日も仕事お疲れ様」
私の頭を撫でる手
いつもは払うけれど、払わなかったらどうなるのかとほんの少しの好奇心が揺れ動いて
彼を見上げれば合う瞳に、不思議そうに私を見る彼
『ふふ、長い』
「え?」
いつまで経っても終わらないそれに結局手を払って
『いつまで撫でてるのよ』
「だってずっと撫でさせてくれてるから」
『何それ』
変なのと笑うと彼に向き直る
『じゃあ仕事いってらっしゃい』
「えー!もう!?」
『もう。ほら』
「えー…あ、ねぇ今度また夜ご飯一緒に食べようよ」
『いいけど。あ、でもあの大量のパンとおにぎりはなしね』
「わかった」
あの日結局食べきれなかったパンとおにぎりは次の日の朝とお昼にまで食べた
「それとまた泊っていい?」
『うーん、それはいいとは言えない』
「俺ちゃんと約束守れるのに」
『そうだけど』
「だからまた泊っていい?」
『うーん、まぁ考えておく。ほら、仕事送れちゃうよ』
彼の背中をポンポンと叩いて
「いってきます」
『いってらっしゃい』
手を振ると薄暗い道を歩いて行った
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