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食べきれなかった夕飯と飲み干したシャンパンに
『そろそろ帰ったら?』
と言ったら
「今日泊っていい?」
と小首を傾げて返って来た
『駄目』
「なんで!」
『駄目に決まってるでしょー?夕飯“だけ”って言ったじゃん』
「俺“だけ”とは言ってない」
『最初から泊まる気だったの?』
「んー…半々?」
『あっそ。でも駄目だから』
「えー」
駄々をこねる子供みたいになった信虎くんを無視して
グラスを片付けるために流し台に持っていけば、後ろからついてきた信虎くん
「ねぇ、ほんとダメ?」
『駄目』
「俺何もしないよ?」
『それは当たり前』
「ちゃんとソファで寝る」
『……』
「だから。ね?」
くるりと振り返って
『駄目。帰って』
「えー……お願い」
顔の前で手を合わせた信虎くんが子犬のような顔をして首を傾げる
『そーゆー顔してもダメだから』
「じゃあどういう顔したらいいの?」
『どんな顔でも駄目』
それだけ言うとグラスを洗うために水を出した
「Aと一緒にいたいだけなのに」
私の横に来て台所に手をついた信虎くん
チラリと視線を上げれば目が合って
「本当に何もしない。ベッドにも入らない。約束する。だから一緒に居させて?」
その真剣な眼差しに気持ちが揺れ動いてしまったのは事実だ
『……ちゃんと、約束守れる?』
「守れる!」
『はぁ……しょうがないなぁ…』
「やった!」
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