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▽ ページ17
会社を出ると《迎えに行くからカフェかなんかで待っていて》という彼氏のメッセージを余所に電車に乗った
彼氏の家の合いカギは持っているし、早めに行って料理でも作って待ってようか
予定はデリバリーだったけれど、こんなに早く仕事が終わったのだから有効活用したい
彼氏の家の最寄り駅に着くとスーパーに寄って
そうそう朝からずっと一緒だったシャンパンも冷蔵庫で冷やしておこう
帰ってきたら驚くかな喜ぶかな
彼がどんな反応をするのか楽しみで
彼の住むマンションに着くと合鍵でカギを開けた
カチャリという音と開けた扉
そこで私の思考は停止して
なに、これ……？
玄関には彼の靴ともう一つ、パンプスがあって
私のじゃない
ドクリドクリとだんだんと煩くなってくる心臓
微かに聞こえた声に手から汗が滲んで持っていた鞄をぎゅっと握る
多分、もうこの時点でわかっていたんだ
けれどもしかしたら違うかもしれないと信じたくて
そっと部屋に上がると声のする方へと歩いて行く
カチャリ、とやけに響いた扉の音に目に入ってきた光景は
ベッドの中にいる彼と知らない女
「きゃっ！」
「なっ…A！？」
完全に黒だった
怒りというか悲しみというか
とにかく色んな感情が私を襲って
『最っ低』
それだけ言うと部屋を出て行った
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