信虎くんに懐かれました (ページ14)

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金曜日の今日はいつもの如く残業はあったけれど、昨日は楽しかったし明日は休みでまたデートできるしで

意気揚々とアパートに着いた

「あ！A！！」

すると何故か信虎くんがいて

『何してるの？今日金曜日だけど』
「だって昨日会えなかったじゃん！」

まさかまた来ると思わなかったし、金曜日なんてホストは忙しいだろうに彼がここにいることに驚いてしまった

『そうだけど…ってプリンありがとう。美味しかった』
「よかった」
『それと、この間背中押してくれてありがとう。実は昨日彼氏に会いに行ったの』
「そっか」
『信虎くんのおかげ。行動してみてよかったかも。明日もデートだし』
「よかったね」
『うん』

すると聞こえたバイブ音は信虎くんのポケットからで

『携帯、鳴ってるよ』
「うーん、出たくないなぁ」
『出なよ』
「出たらもう行かなきゃいけなくなっちゃう」
『仕事なんでしょ？出なって』

そういえばしぶしぶ電話に出た信虎くん

スピーカーから聞こえた「お前どこにいんだよ！！」という大きな声は私にまで聞こえた

「わかってるってー」

まるで駄々を捏ねる子供みたいに唇を尖らせた信虎くんは、「うん、うん」と何度か相槌を打つと通話を切った

「怒られた」
『当たり前でしょ？金曜は稼ぎ時なんじゃないの？』
「そうだけどさぁ…まだAと一緒にいたいなぁって」
『はいはい。仕事行って』

歩みを促すように背中をポンポンと叩いて

『いってらっしゃい』

そう言えば、パチパチと瞬きした信虎くんは嬉しそうに「いってきます」と言って笑った