信虎くんに懐かれました (ページ13)

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次の日、残業はあったけれど、意外と早く終わった時刻に彼に会いに行った

いきなり会いに行くなんてメッセージを送ったからかすごく驚かれたけれど

おかげで昨日キャンセルになった夕飯を一緒に食べることができた

ご飯もシャンパンも美味しかったなぁと楽しかった時間に自然と笑みが零れて

これも信虎くんのおかげかもしれない

彼の言葉がなかったら会いに行ってなかったかもしれない

見えて来たアパートに鞄から鍵を出して

今日はゆっくり眠れそうだと部屋の前に行けば、ドアノブにかかったビニール袋

『え、なに、』

ちょっと怖くて

友達が何か持ってくるなんて予定はなかったし

実家が近いわけでもない

もしかしたら誰かのイタズラかもしれないと、そっとその袋の中を覗いた

するとそこにはプリンが一つ入っていて

『なんでプリン？』

誰だろうか

ドアノブから袋を取ってちゃんと中を確認すれば、プリンと一緒に入っていた紙

見たことのあるそれは信虎くんの名刺で

『来たんだ…』

彼がこれを置いたことを知った

名刺の裏には「おつかれさま」と書いてあって

きっと私が遅くまでまた残業していると思ったのだろう

なんだか少し罪悪感を感じた

もしかしたらもう会うことはないかもしれないけど

もし、また会ったら彼のことも含めお礼を言おう

そう決めて、部屋のドアを開けた