真志井雄彦(VD) ページ50
「さっみぃ……!」
カランカランとドアが開く音と共に入って来た声は聞き慣れた声で肩に付いた白い雪を払うといつものカウンター席に座った
大学の授業がない日はこうして両親が営んでいる喫茶店を手伝っているわけだが、雪が降った今日はお客さんなんて来なくて今入って来た彼がお客様第一号
『学校は?』
「この後行く」
そんな会話をしながら彼――雄彦くんの前に灰皿を置く
『雪降ってるんだからこんなところ寄ってないで早く行きなよ』
「覗いたらAがいたからさ」
煙草特有の香りと広がる煙
いつも頼むコーヒーの入ったカップを彼の前に置いて、せっかくだし今日は特別にとホットチョコレートの入ったカップを隣に置いた
「何これ」
『ホットチョコレート。明日バレンタインでしょ?』
「あぁ」
思い出したかのように言う彼はあまり興味が無さそうで。バレンタインなんて男子高校生からしたら一大イベントなんじゃないのか
『バレンタイン貰えるといいね』
「別に」
『あ、男子校だっけ』
「そう」
『でも雄彦くんモテそうだから学校の外で女の子が待ってたりするんじゃないの?』
「さぁ」
否定しないということはそういう女子はいるわけだ
「Aは?あげる奴とかいねぇの?」
『うーん、特には。雄彦くんいる?』
貰う女子がいるならきっと必要ないだろうと半分冗談で言えば、フッと笑った彼
「うん、いる」
『え!?』
「なに?自分からいるか聞いてきたんだろ?」
『だって、』
当然いらないという言葉が返ってくると思ったのにまさかいるなんて答えると思わなじゃないか
『もしかして雄彦くん実は甘い物好き?』
「いや」
『じゃあ実は私のことが好きなんだな?』
「うん」
なーんて、という言葉が続く前に彼から出た言葉は私を驚かせて
『……じょ、冗談……?』
「いや、本気」
いつもと変わらない表情で言った彼に顔が熱くなる
『何言って……』
「だからさ、考えておいてよ。ね?」
カウンターに肘を付いた彼がフッと笑って、高校生には似つかわしくないその大人っぽい表情に心臓がドキリと鳴った
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ここでお話がいっぱいになりました!
ハイロー短編集まだお付き合いくださる方は是非2の方でもよろしくお願いします!
お気に入り、評価、コメント等いつもありがとうございます!
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成田(プロフ) - evifryさん» こんばんは。コメント嬉し過ぎてニヤニヤが止まりません。ありがとうございます!ビンゾーくん長編も読んでくださっているんですね!嬉しいです!轟くんの長編、そんな嬉しい事言ってくださるなんて…!少し落ち着いたら頑張って続きを考えてみようかなと思います!! (2022年12月12日 23時) (レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
evifry(プロフ) - コメント失礼します…成田さんの愛されがとっても好きで、ビンゾーくんの長編も更新すごく楽しみにしている者です。轟洋介の長編、是非機会がありましたら公開していただければと思います…!何卒…!何卒よろしくお願いいたします…!!! (2022年12月12日 18時) (レス) @page19 id: 5d6115b8aa (このIDを非表示/違反報告)
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