花岡楓士雄(クリスマス) ページ5
クリスマスは昔から嫌いだ
なぜなら私の家には一度もサンタが来たことがないから
「サンタって実は親なんだよ」と友達に言われたってどちらにしろうちには来ないのだから私には関係のない話しだ――
「A!A!」
だから、
「おい!起きろ!A!」
12月25日の朝、いつもと同じ朝
隣に寝ているはずの楓士雄がこんなにも騒がしくてこんなにも体を揺さぶられて起こされる意味がわからなくて
『ん…なに……』
「起きたか?」
『…るさい……』
うっすらと目を開ければ視界いっぱいに何故か満面の笑みの楓士雄がいて
「おい!寝るなよ!」
『んー…もう、なに、』
再び瞳を閉じようとした私を無理矢理起こした
「ほら」
『なに』
「見てみろって!」
『何が』
体を起こせば枕元からコロンと転がったそれ
小さな真四角の箱は緑色で赤に金色が入ったリボンが飾られているそれはまさしくクリスマスのプレゼントっぽくて
『……なに?これ』
「いや、俺もわからねぇ」
『…は?』
「ほら、あれじゃん?サンタ」
『……』
布団に転がったままのプレゼントを見つめて、次に楓士雄を見れば視線を逸らされた
『これ、楓士雄が?』
「いや!知らない!!!俺は一切知らない!!ほんとだから!これ!マジだから!!マジで!!」
『……』
「だから、多分サンタ!」
『……』
「ほら、開けてみろよ!」
あぁ、なんだろう。鼻の奥がツンとする
そっとその箱に触れて
ゆっくりとリボンを解いて
箱を開ければ、前に楓士雄と通りかかった露店で私が可愛いと見ていた指輪だった
溢れ出した涙は私の視界をぼやけさせて簡単にボロボロと瞳から落ちる
「え!?ちょ、どうした!?」
驚く楓士雄の声に
「A……?」
楓士雄の胸に顔を埋めて
『楓士雄、ありがとう……』
「え!?あー、まぁ俺じゃないけどな!サンタだけどな!」
ぽんぽんと頭を撫でる手がとても優しかった
『大好き楓士雄』
「おう。来てよかったな、サンタ」
『うん』
おまけ→
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成田(プロフ) - evifryさん» こんばんは。コメント嬉し過ぎてニヤニヤが止まりません。ありがとうございます!ビンゾーくん長編も読んでくださっているんですね!嬉しいです!轟くんの長編、そんな嬉しい事言ってくださるなんて…!少し落ち着いたら頑張って続きを考えてみようかなと思います!! (2022年12月12日 23時) (レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
evifry(プロフ) - コメント失礼します…成田さんの愛されがとっても好きで、ビンゾーくんの長編も更新すごく楽しみにしている者です。轟洋介の長編、是非機会がありましたら公開していただければと思います…!何卒…!何卒よろしくお願いいたします…!!! (2022年12月12日 18時) (レス) @page19 id: 5d6115b8aa (このIDを非表示/違反報告)
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